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東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)117号 判決

一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本件発明の要旨)及び三(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。

1 成立に争いのない甲第八号証、第九号証によれば、本件発明は半導体集積回路製作用クロムマスク及びフオトエツチングによる微細加工用フオトマスク等のフオトマスクの残存欠陥の修正に関するもの(本件公報第二欄第九行ないし第一二行)であつて、

(一) 従来、残留欠陥を修正除去する方法には、フオトマスクを製作するのと同じエツチング工程を用いた(別紙図面(一)第2図参照)が、この方法には、修正時間が長くなつたり、欠陥部の形状に合わせた露光防止が困難で修正作業が限定され、かつ、作業者の熟練が必要で量産的でない等の問題があつた(同第二欄第二二行ないし第三欄第二行)との知見に基づき、右問題点を除くため、レーザによる半導体集積回路用のフオトマスクの残留欠陥を修正する方法及び装置を提供することを目的とし(同第三欄第三行ないし第五行)、

(二) 右目的を達成するため、特許請求の範囲1ないし4(本件発明の要旨)記載の構成を採用し、

(三) 右構成の採用によつて、「従来のフオトエツチング法によるフオトマスクの修正法に比べ、その所要工数は<省略>程度になり、かつフオトエツチング法では困難であつた二~五μの微小な欠陥部の修正も確実に行なうことができるようになつた。またレーザビームを走査させることにより異る方法の欠陥も容易に修正できる効果を有する」(第七欄第一二行ないし第一九行)ことが認められる。

2 原告は、審決は、第一引用例、第三引用例及び第四引用例記載の技術内容を誤認したものであり、本件第一発明は、第一引用例又は第四引用例、及び第三引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張するので、まずこの点について検討する。

(一) 成立に争いのない甲第一号証によれば、第一引用例には、次の技術事項が記載されていることが認められる。

(1) 薄膜回路の製造にレーザを用いると、近接物質や部品に与える影響を最小に抑えて、微小量物質を加熱、熔融、蒸発させることができる(第三八六頁第二七行ないし第三五行)。

(2) レーザ加工によつて、水晶、ガラス、サフアイヤ基板上に蒸着等により形成した膜をパターン形成と同様にうまく加工することができる(第四〇二頁第三六行ないし第四〇三頁第五行)。

(3) レーザ加工装置は、YAGレーザと三次元(x―y―z)微細位置決め機構と、対物レンズ等を含む観察・集束装置とから成る(第三八九頁第六行ないし第一二行、第一九行、第三九一頁第九行ないし第三一行、別紙図面(二)参照)

(4) レーザにより抵抗の形状寸法を変えるか抵抗内部の小部分を蒸発させると、その抵抗値の調整を行うことができる(第三九九頁Fig11下第九行ないし第一五行)。

(5) 金とニクロム薄膜に対してそれぞれ異なる加工線幅を得るため倍率の異なるレンズを使用した(第三九一頁第三六行ないし第三九行)。

(6) タンタル集積回路の加工と薄膜マスクの作成とでは、それぞれ倍率の異なる対物レンズを使用した(第三九一頁第一一行ないし第一五行)。

(7) レーザにおける最小集束光径Wfは、レンズの集点距離fに関係する(第三八八頁第一行ないし第八行)

また、成立に争いのない甲第三号証によれば、第三引用例は、金属膜を形成したガラスマスタ上のピンホールの修理に関するものであつて(第一九〇六頁図面下第一行、第二行)、自動x―y位置合わせ機構を用いてガラスマスタのピンホールを集束レーザビームに正しく位置合わせをし、その後、ターゲツトガラスをレーザビームとガラスマスタの間に置き、ターゲツト上の金属の一部をレーザビームで蒸発させ、マスタガラスのピンホール領域に付着させて修理を行う(同頁図面下第六行ないし第一〇行、別紙図面(三)参照)技術が記載されていることが認められる。

さらに、成立に争いのない甲第四号証によれば、第四引用例は、ヘリウムネオンガスレーザを用いてガラス基板上の赤外線吸収膜にマスクパターンを描く手段に関するものであつて、ヘリウムネオンガスレーザにおいて、その出力ビームは直径五~五〇μの範囲の可変スポツトに集束できること(第八二頁左欄第五行ないし第一二行)、レーザはテープ制御微細位置合わせ座標台とともに使用されるもので、ガラス基板上の赤外線吸収膜にマスクパターンを描き、五μの細線の加工が可能であること(第八一頁右欄第二四行ないし第二六行)、レーザとコンピユータの結合によつてマスクを迅速かつ経済的に製造することが解決されたこと(第八一頁左欄第一一行ないし第一三行)が記載されているものと認められる。

(二) 本件第一発明の要旨には、「フオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径を整合」する構成要件が含まれているところ、前掲甲第八、第九号証によれば、本件明細書には、右「整合」の解釈についての具体的な記載は存しないことが認められるから、それは通常の意味の整合、すなわち「きちんと合わせること」を意味するものと解すべきであり、したがつて、右構成要件は、「フオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径をきちんと合わせる」意味にほかならない。

そして、前掲甲第八、第九号証によれば、本件明細書には、右構成要件に関連して、(イ)「第7図に示す実施例では、前記パルス状にしたレーザビームを、第二高調波発生装置28により、その一部を第二高調波すなわち波長を半分に変えることができ、これによつて加工部へ照射するレーザ集光スポツトをより小さくすることができる。」(本件公報第四欄第一六行ないし第二一行)、(ロ)「第8図に示す実施例においては、レーザビームの取り出しをメカニカルシヤツタ31で制御するとともに、絞り34、35の円形開口部36、37の作用によりレーザビームの拡りを防ぎ、レーザ光軸を安定させ、かつ加工部へ照射するレーザ集光スポツトを小さくすることができる。」(同欄第二一行ないし第二七行)、(ハ)「47は主軸45に取付けられたホルダで三種類の対物レンズ48、49、50を保持している。(中略)上記構成によれば、残留欠陥4の大きさに応じて、対物レンズを選択し、ホルダ47を回転させることにより、最も適した作業条件を容易に得ることができる。」(同欄第四一行ないし第五欄第五行)、(ニ)「レーザビームの集光点は回転ミラー74によりフオトマスク12面上のy方向に走査され、また振動平面反射鏡76の振動によりフオトマスク12面上のx方向に走査される。(中略)低出力のレーザ発振装置70および一個の集光光学機構10を用いることにより、フオトマスク12の修正が可能である。」(同第六欄第八行ないし第一七行)と記載されていることが認められる。右(イ)は第二高調波の使用、(ロ)は開口部36、37付きの絞り34、35の使用、(ハ)は対物レンズ48、49、50の選択、(ニ)は走査用の集光光学機構10の使用をそれぞれ示しており、本件発明は、これらの手段によつて「フオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径をきちんと合わせ」、その結果として、前記1(三)認定の微小な欠陥部の修正や異なる寸法の欠陥の修正もできるようになつたものとみることができる。

一方、第一引用例、第三引用例及び第四引用例記載の技術内容は前記(一)認定のとおりであつて、第一引用例及び第四引用例記載のものは、いずれもレーザビーム(なお、レーザビーム出力はパルス状で発生するのが普通であるから、レーザビームとレーザパルスとは同義である。)を用いたマスクパターン形成手段であるため、レーザビームの照射対象はマスクパターン形成手段であつて本件第一発明のようにフオトマスクの欠陥部ではない。しかしながら、第一引用例記載のものは、加工すべき線幅に応じて対物レンズの倍率を変えているものであるから、本件第一発明における「(フオトマスクの欠陥部の)大きさにレーザパルスの集束光径をきちんと合わせる」構成における一つの具体的実施手段にほかならず、また、第四引用例には、具体的手段は開示されていないが、レーザ加工において、加工(除去)すべき部分のみを正確、迅速に加工(除去)し、それ以外の部分になるべく右加工(除去)の影響を与えないようにするために加工(除去)すべき部分の材料、厚さ、加工(除去)の大きさ等に対応してレーザビームの出力電力、集束光径、走査範囲等を選択することは技術常識であるから、第四引用例記載のものがレーザビームのスポツトの径を変えるものであることは、取りも直さず加工(除去)すべき部分の大きさにレーザパルスの集束光径をきちんと合わせることにほかならない。したがつて、第一引用例及び第四引用例記載のものは、除去すべき部分(原告の主張する加工対象部位)の大きさに応じてレーザビーム(レーザパルス)の集束光径をきちんと合わせる(整合させる)ものというべきである。

また、第三引用例記載のものは、ガラスマスタ(フオトマスクと同義である。)の金属薄膜におけるピンホール(欠損欠陥部)の修理手段であつて、本件第一発明のようなフオトマスクの残留欠陥部の修正手段とは対象を異にし、また、第三引用例には、右ピンホールの大きさにレーザパルスの集束光径をきちんと合わせることについての直接の記載はない。しかしながら、第三引用例記載のものは、右ピンホールの存在する箇所のみを修理すれば所期の目的が達成されることから、ターゲツトガラス上の金属薄膜の加熱蒸発領域を限定して、すなわち、レーザビームの集束光径を所定の大きさになるように制御して、右ピンホールの存在する箇所のみに右蒸発した金属を蒸着させ得るようにしたものというべきであり、したがつて、フオトマスクの欠陥部のみを修正するために、右欠陥部の大きさに対応して、レーザビーム(レーザパルス)の集束光径を設定していることが明らかである。

(三) 以上の認定事実に基づき、本件第一発明と第一引用例及び第四引用例記載のものとを対比すると、両者は、レーザビームによる加工(除去)すべき部分(加工対象部位)が本件第一発明はフオトマスクの欠陥部であるのに対して第一引用例及び第四引用例記載のものはマスクパターンである点においてのみ相違し(以下「相違点(イ)」という。)、その余の点、すなわち、レーザ出力パルスの集束光点に右加工(除去)すべき部分(加工対象部位)を合わせ、かつ右部分の大きさに応じてレーザパルスの集束光径を整合した状態で、レーザパルスを右部分に集束照射し、所定の加工(除去)をすることを特徴とする点で実質的に一致しているというべきである。

一方、第三引用例には、本件第一発明と同じくフオトマスクの欠陥部にレーザビームを照射することによつてフオトマスクを修正する手段が開示されていることは前述のとおりである。ただ、修正すべきフオトマスクの欠陥部が本件第一発明は残留欠陥である(欠損欠陥を含まないことは特許請求の範囲に「フオトマスクの欠陥部を除去する」と記載されていること、及び前記1認定の本件明細書の記載事項から明らかである。)のに対して、第三引用例記載のものは欠損欠陥である点において相違し(以下「相違点(ロ)」という。)、また、本件第一発明はフオトマスクの欠陥部の大きさに応じてレーザパルスの集束光径を整合させるものであるのに対して、第三引用例記載のものは結果的にフオトマスクの欠陥部のみを修正するために右欠陥部の大きさに対応してレーザパルスの集束光径を設定しているものである点で相違(以下「相違点(ハ)」という。)している。

しかしながら、前掲甲第八号証によれば、本件明細書には、従来例としてフオトマスクにおける欠陥に残留欠陥及び欠損欠陥が存在すると記載されていることが認められるように、このことは当該技術分野において本件出願当時既に周知の事柄であり、しかも間接的にせよ第三引用例によつて、その内の一方(欠損欠陥)をレーザビームの照射による金属薄膜の加熱・蒸発によつて修正しようとする試みが当業者に知られているから、その内の他方(残留欠陥)についても、レーザビームの照射による欠陥部の修正としては、残留欠陥を修正する方が欠損欠陥を修正する方よりも単純な作業であることにかんがみ、レーザビームの直接的な照射による金属薄膜の加熱・蒸発を利用して同様に修正できるという考えに至ることは、当業者であれば極めて自然のことである。したがつて、相違点(ロ)について、レーザビームによつて修正すべきフオトマスクにおける欠陥として、欠損欠陥を選択する代わりに残留欠陥を選択することは、第三引用例が十分示唆している技術的事項である。また、相違点(ハ)は、本件第一発明の右欠陥部が残留欠陥であるのに対して、第三引用例記載のものの右欠陥部が欠損欠陥である点に起因した事項であつて、両者はフオトマスクの欠陥部の大きさに応じてレーザパルスの集束光径を合わせるための試みを実施している点で共通しており、また、第一引用例及び第四引用例によつて加工(除去)すべき部分(加工対象部位)の大きさに応じてレーザパルスの集束光径を整合させる集束光径調整手段が知られているから、第三引用例の示唆する前記技術的事項は第一引用例及び第四引用例記載の右集束光径調整手段から直ちに実施できる設計的事項にすぎない。

そうすると、ガラス基板上に蒸着した金属被膜に対して直接レーザビームを照射させて所定の加工(除去)を行う技術手段である点で本件第一発明と技術的思想を共通する第一引用例又は第四引用例記載のものにおいて、右技術的思想と軌を一にするところのフオトマスクの欠陥部にレーザビームを照射することによつて修正する手段を開示する第三引用例の記載及び示唆に基づき、前記相違点(イ)、すなわち、加工(除去)すべき部分(加工対象部位)としてマスクパターンの代わりにフオトマスクの残留欠陥部を選択することは、当業者であれば容易に想到できる程度のことである。

そして、本件第一発明の奏する作用効果は、前記1(三)認定のとおりであり、右作用効果は、第一引用例、第三引用例、第四引用例記載のものが奏する作用効果及び周知のレーザ加工技術が奏する作用効果の域を出るものではなく、本件第一発明が進歩性を有する程度に顕著なものとは認められない。右認定の作用効果には、審決認定の「欠陥部を効率良く修正できる」との文言は存しないが、「フオトエツチング法によるフオトマスクの修正法に比べ、その所要工数は<省略>程度になり」との記載に「効率良く」の意味が含まれているものと理解できる。しかしながら、フオトマスクの形成又は修正工程において、従来のフオトエツチング法を用いた場合とレーザビーム照射による加工法を用いた場合とを比較すると、前者の工数に比べて後者の工数が相当少なくなることはそれぞれの加工法が本来的に有する固有の性質であるから、本件第一発明において欠陥部を効率良く修正できるという作用効果は本件第一発明が採用した後者の加工法の本来的な固有の性質にすぎないのであつて、これをもつて格別顕著なものとすることはできない。

(四) 以上の点について、被告は、本件第一発明は、ある大きさを持つた除去されるべき部位としての欠陥部が存在するのに対して、第一引用例及び第四引用例記載のものには、除去されるべき部位としての加工対象部位が存在せず、単に金属蒸着された基板上にレーザビームで所定のパターンを形成したり、抵抗値の調整を行うものである旨主張する。

前記認定事実によれば、本件第一発明はフオトマスクの残留欠陥部の除去を技術内容とするのに対し、第一引用例及び第四引用例記載のものは、基板上に形成した金属薄膜にレーザビームを照射して所定の形状のパターンを形成すること、及びレーザビームにより基板上の金属薄膜抵抗の一部を蒸発させてその抵抗値を調整することを技術内容とするものであるが、両者は、基板上に形成した金属薄膜において、最終的に不要な部分にレーザビームを照射してこれを加熱・除却するようにした技術手段である点で共通しており、ただ不要な部分の具体的対象が本件第一発明では既に加工が完了している金属被膜のパターンにおける余分な残留欠陥部分であるのに対し、第一引用例及び第四引用例記載のものではこれから加工を行う金属被膜のパターンにおける不要な非パターン形成部分であり、さらに、既に加工が完了している抵抗体としての金属被膜のパターンにおける不要な(余分な)部分である点で相違するにすぎない。そして、両者は、右の不要な部分のみを加熱・除去するために、右不要な部分に整合した集束光径を有するレーザビームを照射し、その照射により右不要な部分のみを加熱・除去しているのであるから、第一引用例及び第四引用例に開示された技術内容は十分に本件第一発明の前記技術事項を示唆しているというべきである。したがつて、被告の前記主張は理由がない。

また、被告は、レーザ加工の一般的技術としては、共通に対物レンズを選択することもしくはレーザビームの集束光径を選択することとして表現される技術であつても、第一引用例及び第四引用例記載のもののように加工対象部位の加工技術として適用された場合と、本件第一発明のようにフオトマスクの欠陥部を除去することによつてフオトマスクを修正する技術に適用された場合とではその技術内容を異にする旨主張する。

しかしながら、前記認定事実によれば、本件第一発明は、フオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径を整合する手段として、極く普通の手法を利用しているにすぎず、新規な手法を用いているものではないから、右手段とレーザ加工における一般的な技術としての対物レンズを選択する、もしくはレーザビームの集束光径を選択することとの間に相違があるとはいえない。したがつて、被告の前記主張は理由がない。

さらに、被告は、第三引用例には、加工対象部位としてフオトマスクの欠陥部を選定し、薄膜のレーザ加工技術によつてフオトマスクの欠陥部を修正する技術について何ら開示されていない旨主張する。

しかしながら、前記認定事実によれば、フオトマスクにおける欠陥として、残留欠陥と欠損欠陥とが存在することは本件出願当時周知であり、かつ、当業者であれば、第三引用例によつて、その内の一方(欠損欠陥)をレーザビームの照射による金属薄膜の加熱・蒸発によつて修正しようとする試みが知られていれば、その内の他方(残留欠陥)をもレーザビームの直接的な照射による金属薄膜の加熱・蒸発によつて同様に修正できるという考えに至ることは普通であるから、右欠陥としてフオトマスクの欠損欠陥を選択する代わりに、フオトマスクの残留欠陥を選択することは、第三引用例が十分示唆する技術事項である。したがつて、被告の前記主張は理由がない。

(五) 以上のとおりであるから、本件第一発明について、その主要な構成要件であるフオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径を整合すること及びこれによつて奏する作用効果は各引用例に明示ないし示唆されていないとした審決の認定、判断は誤りであり、本件第一発明は、第一引用例又は第四引用例、及び第三引用例の記載に基づき当業者が容易に発明をすることができたものというべきであるから、取消事由2及び3にについて判断するまでもなく、審決の結論には誤りがあることが明らかである。

3 本件第二発明ないし第四発明の要旨は、前記本件発明の要旨2ないし4記載のとおりであつて、フオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径を整合することを構成要件とする点において本件第一発明の構成要件と共通するものである。

そして、前記審決の理由の要点によれば、審決は本件第二発明ないし第四発明についても「フオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径を整合することを主要な構成要件とするものであり、そして、これによつて欠陥部を効率良く修正できるという効果を奏するものであるのに対し、各引用例にはこれらについて明示ないし示唆しているところはない」との判断に基づき本件第二発明ないし第四発明の進歩性を認めたことが明らかであるところ、審決の右認定、判断の誤りであることは前述のとおりであるから、取消事由4のその余の点について判断するまでもなく、本件第二発明ないし第四発明についての審決の結論もまた誤りというべきである。

三 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は理由があるから、正当としてこれを認容する。

〔編注1〕本件発明の要旨は左のとおりである。

1 レーザ出力パルスの集束光点にフオトマスクの欠陥部を合わせ、かつフオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径を整合した状態で、レーザパルスをフオトマスクの欠陥部に集束照射し、フオトマスクの欠陥部を除去することを特徴とするフオトマスクの修正方法(以下「本件第一発明」という。)

2 波長〇・三~一・二μで、エネルギ範囲8×105w/cm2~2.3×1010w/cm2の尖頭出力を持つレーザパルスの集束光点に、フオトマスクの欠陥部を合わせ、かつフオトマスクの欠陥部の大きさにレーザパルスの集束光径を整合し、レーザパルスをフオトマスクの欠陥部に集束照射して、フオトマスクの欠陥部を除去することを特徴とするフオトマスクの修正方法(以下「本件第二発明」という。)

3 レーザ加工装置において、波長〇・三μ~〇・六μ、エネルギ8×105~2.3×1010w/cm2の尖頭出力のレーザパルスを発生するレーザ発振装置と、前記レーザパルスをフオトマスクの欠陥部の大きさに集束整合する集光光学機構と、レーザパルスの集束光点にフオトマスクの欠陥部を合わせて位置決めするための載物台と、フオトマスクの欠陥部を観察し得る観察光学機構とを設けたことを特徴とするフオトマスク修正用のレーザ加工装置(以下「本件第三発明」という。)

4 前記第三項のレーザ加工装置において、フオトマスク上でレーザ集束光点を走査させる走査装置を、レーザ発振装置と、中間光学機構との間に設けたことを特徴とするフオトマスク修正用のレーザ加工装置(以下「第四発明」という。)

(別紙図面(一)参照)

〔編注2〕本件における図面は左のとおりである。

別紙図面(一)

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別紙図面(二)

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別紙図面(三)

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